2014年5月6日火曜日

台湾人のサンフランシスコ平和条約


  日本が独立を回復した条約という程度にしか記憶にない条約ですが、当時日本領だった台湾にとっては非常に複雑な状況になっていることが判ります。

 この主張が正しいかどうかは私には判りませんが、アメリカで台湾人による台湾独立運動を続けているアンディ・チャンの主張も参考にするべきと思いここに掲載させて
頂きました。



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Andyの国際ニュース解説 [メルマ!:00053999] <trans_g0g0jojR37464c09@melma.com>

AC通信  No.496
201454 18:05:13JST

アメリカは今でも現状維持を主張し、中国の横暴な武力進出を許している。その理由はアメリカが独力で解決する力がないということである。

1952年4月28日はサンフランシスコ平和条約(SFPT)が発効した日である。今年で62周年を迎えるこの日、台湾人の間でまたもSFPTを根拠としてアメリカは台湾の主要占領国で、占領権は今でも持続していると主張する論文が出てきた。これは間違いであり、このよ
うな主張は台湾とアメリカの関係を悪くすることがあってもよくなることはない。事実でないことを根拠にしてアメリカ政府に要求を突きつけても進展はないし、アメリカが迷惑するばかりだ。

彼らの主張はいくつかの点に要約される。
(1)日本国はSFPT第2条bにより台湾澎湖の主権を放棄したが放棄した主権の帰属は未定である。従ってSFPTの主要条約国アメリカには台湾の帰属を未定にした「責任」と「義務」がある。
(2)アメリカはSFPTの第23条に明記された[主要占領国]である。
これによりアメリカは帰属未定の台湾澎湖の主要占領権を持ち、今日でも継続して持っている。
(3)台湾を統治している中華民国は蒋介石の亡命政権でアメリカおよび世界諸国は之を認めない。また台湾国も存在しない。したがって台湾の将来の決定権はアメリカが握っている。

この主張から派生した主張に林志昇の「台湾は今でも天皇陛下の神聖不可分の領土である」という、とんでもないものがある。

●SFPTは戦争の終結である。

サンフランシスコ平和条約とはTreaty of Peace with Japanと呼ぶ
条約で、日本国と戦争に参加した48カ国(条約では連合国と称する)が「戦争の終結」を宣言したもので、冒頭第1条に「日本国と各連合国の間の戦争状態は、第23条の定めるところによりこの条約が日本国と該当連合国との間に効力を生ずる日に終了する」と明記してある。

つまり戦争の終結で平和が訪れたという宣言である。それなのに戦争は終わっても条約は有効だから占領権も有効と主張するのは間違っている。しかも本条約は日本と連合国の間で締結されたのものだから、もし占領権が今も存在するならアメリカと連合国は今日でも
日本の占領権を持っていることになり、根本的に不合理である。

条約は連合国と日本の間で締結されたもので、台湾との条約ではない。同文23条にある[主要占領国アメリカ]とは条約締結前の日本を占領していたことを指す。しかしアメリカは台湾の占領国ではなかったし、アメリカ占領軍が台湾に駐屯した事実もない。したがって
アメリカ台湾の主要占領国であり、今も占領権を持つという根拠は存在しないのである。

●SFPT第23条の[主要占領国]とは

SFPTのなかに「主要占領国、主たる占領国(Principal Occupied Power)」と書かれた箇所は第23条にのみ存在する。そして第23条とは以下の通りである:「この条約は、日本国を含めて、これに署名する国によって批准されなければならない。この条約は、批准書が日本国により、且つ、主たる占領国としてのアメリカ合衆国を含めて、次の諸国、すなわ
ちオーストラリア、カナダ、セイロン、フランス、インドネシア、オランダ、ニュー・ジーランド、パキスタン、フィリピン、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国の過半数により寄託された時に、その時に批准しているすべての国に関して効力を生ずる」

つまり、(A)アメリカは日本を占領していた主たる占領国だった。
(B)本条約は日本とアメリカを含めた諸国が署名しなければ発効しない。それ以外に何の意味もない。台湾は論外である。

また第23条により諸国が署名した日から条約は効力を発揮したが第2条各項の領土は帰属未定のままで、アメリカには条約で領土の帰属を明確にしなかった「責任」と問われることはあっても「義務」は存在しない。

●条約の勝手な解釈は無益である

条約は明文化された事のみを認める、書かれていないことを勝手に憶測、解釈しても無益である。

SFPT第2条において日本が主権放棄した領土は台湾澎湖だけでなく、南沙諸島、西沙諸島も含まれている。アメリカは台湾の主権、南沙、西沙の主要占領権を主張したことはない。中国が勝手に領土権を主張し、武力で占領してもアメリカが抗議したことはない。

アメリカが日本に対して主要占領国だったことで台湾に対しても主要占領国だという解釈は成り立たないし、占領権が今でも継続しているという解釈は根拠がない。

仮にアメリカの「主要占領権」を認めるとしたら、アメリカ以外の47カ国の「次要占領権」も認めなければならない。フィリッピン、タイ国、ベトナムなどの国々が今日でも台湾に対し「次要占領権」を持っていると主張したらどうなるか。

アメリカが台湾の占領権を持っているから、台湾の住民投票でアメリカの第51州になれると主張する「51州建州運動」グループが存在する。住民投票で台湾人がアメリカ国民になるという主張は根拠がないし、アメリカが受け入れる筈がない。

林志昇グループの主張は、日本は台湾の主権を放棄したが今でも帰属未定だから、今でも天皇の神聖不可分の領土であると主張している。こんな理論がとおるなら、日本政府は天皇の先生不可分の領土を勝手に主権放棄したことになる。日本国は天皇の領土を勝手に処
分した大罪を犯したのか。まったく荒唐無稽である。

●アメリカの現状維持が間違いのもと

アメリカがSFPTを締結してから今日までいろいろな事情の変化があったが、いろいろな事情からアメリカは帰属未定の領土を解決する意思はなかった。アメリカは今でも現状維持を主張し、中国の横暴な武力進出を許している。その理由はアメリカが独力で解決する
力がないということである。これを解決するには私が何度も主張している東南アジア諸国が連盟(PASEA)を作って、日本、アメリカ国会とSFPT条約の署名国と共同解決すべきである。アジア諸国は既にSFPTの署名国であるから連盟を作れば解決はできるはずである。

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