2020年2月29日土曜日

フランスのテロワール

コニャックとアルマニャックの違い

DIAMOND online 2020.2.29 より

知れば差がつく「ブランデー」の基本、ウイスキーとの違い・格付けの意味…


ブランデー
ちょっとディープなイメージがあるだけに、基本だけでも押さえればグッと差がつくブランデー。バーでの愉しみもいっそう広がるはずだ。

【Q1】ウイスキーとブランデーの違いは?

【A】穀物が原料か、果実が原料か
 ブランデーの語源は“焼いたワイン”に由来。広義には様々な果実の蒸留酒を指すが、中でもブドウを原料とするものが多いためこう呼ばれる。コニャックもアルマニャックもブドウの蒸留酒だ。また工程や使用する樽の種類など製造方法にも色々な違いがある。

【Q2】「X.O」や「V.S.O.P」って何?

【A】ブランデーの格付けの一種
 コニャックやアルマニャックに用いられる写真の表のような表記は、熟成年数によって分けられたランクを示す。上にいくほど長期間の熟成を経たもの。ちなみにコニャックとアルマニャックは別の基準で格付けされるため、同ランクでも熟成年数が異なっている。

【Q3】おすすめのブランデーグラスは?

【A】チューリップ型の細身も近年人気
チューリップ型のタイプ
 ワイングラスを短くしたようなブランデーグラスが定番だが、最近はチューリップ型と呼ばれる写真のタイプも人気。独特なくびれが特徴で、自然と香りを愉しみながら飲める設計になっている。リーデル「〈ソムリエ〉コニャックXO」1万7000円(リーデル青山本店)




手のひらで包むのは正しい? 正しくない?
  
グラスの持ち方
 ブランデーグラスを手で包み込んで温めると風味が増すといわれるが、アルコールが揮発して逆にアロマが損なわれるためNGとも。プロでも意見が分かれるところで、結局好み次第のようだ。




【Q4】コニャックとアルマニャックはどう違う?

【A】最大の違いは生産地
生産地

コニャックとアルマニャックの違いをフォトギャラリーで解説(写真2点)

ヘネシー X.O
【コニャック】ヘネシー X.O
法定基準に基づくコニャック地方伝統の酒

 フランス西部に位置する同名の地域で造られ、当地の厳格な生産基準を満たしたブランデーがコニャック。中でも最高峰といえばヘネシー X.Oだ。芳醇なアロマと力強い味わいはまさに大人の酒といえる。2万400円(MHD モエ ヘネシー ディアジオ)
バ アルマニャック ジェラス 10年
【アルマニャック】バ アルマニャック ジェラス 10年
15世紀から続くアルマニャック地方の特産

 コニャックと同様に法律で定めた基準に則って生産されるアルマニャック地方の特産品。ジェラス 10年はユニブラン種、バコ種という2種類のブドウをブレンドして造られる。5000円(ジャパンインポートシステム)
ちなみにカルヴァドスは原料が違う
 
カルヴァドス
 カルヴァドスはりんごの蒸留酒。フランス北西部ノルマンディの名物で、中でもペイドージュ地方産のものが最良とされる。ブルイユの「フィーヌ」はフルーティな風味と豊かなボディが特徴的で、ストレートでもカクテルベースとしても用いられる。4600円(ジャパンインポートシステム)



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2020年2月28日金曜日

再開発は誰のために?

安江様

20年近く渋谷区で都市づくりに取り組んでこられたHICPMの会員竹居治彦著『再開発は誰のために?』(新評論)は、都市計画を人文科学的に見ることを行なった書籍です。実は著者の竹居さんとは「ラ・トゥーア・代官山」の行政事件訴訟を一緒に戦ってきた戦友のような方です。
再開発は誰のために? 竹居治彦(著/文) - 新評論今回竹居さんがおまとめになったこれまでの闘いの歴史を読んで、ここで纏められていることは欧米の都市計画の教科書とおなじ人文科学的視点で書かれていることに驚かされ、安江さんにお勧めすることにしました。

都市は人間と都市の相互作用でつくられるもので、そこには社会科学的は富の分配をめぐって、虚偽や権力が入り混じり、決して綺麗ごとではないことを教えてくれます。住宅・都市問題は、わが国の様に「工学」で扱われ、「スクラップ・アンド・ビルドを繰り返すもの」ではなく、人類の歴史文化の形成そのものです。
住宅都市環境生成は、過去の歴史文化を引きずって、未来に向けての環境を形成をしていくものです。そこには富の分配をめぐって、違法が行われ、醜悪な戦いもあります。産業資本や行政が不正利益を追求することも日常茶飯事です。その成果で、未来に誇れる住宅都市環境を実現するためには、気の遠くなるような闘いがあるということをこの書籍は教えてくれます。
住宅生産性研究会 戸谷英世

『版元ドットコム』より紹介

竹居治彦(著/文) 発行:新評論 初版年月日2020年2月
1929(昭和4)年山梨県生まれ。山梨高専中退、法政大学文学部卒業。『東京タイムズ』広告部に勤務した。現在、渋谷区鶯谷町在住。

紹介
 行政とマンション業者が手を組むとどんな違法建築物でも建てることができる。本書では法治国家日本で起きている現実を、渋谷区と住友不動産が手を組んで建てた違法マンション「ラ・トゥール代官山」を題材に解き明かした。
 渋谷区鶯谷町は第2種低層住居専用地域であり、建物の高さは高さ12メートル、容積率60%までと規制されている。そのような区域に、2010年、高さ17メートル、容積率200%のマンションが完成した。その外観は陸に上がった巨大空母さながらで、閑静な住宅地の景観を一気に破壊することになった。筆者の住まいはこのマンションと数メートルしか離れておらず、擁壁のような建物に太陽も空も奪われ、プライバシー侵害によってそれまでの「安静な日々」が「不安と不快の日々」へと激変した。
 建築過程において住民は、渋谷区にその違法性を申し立て、裁判でも訴えたがすべて門前払いされ続けた。マンション完成の3年後、筆者はあることをきっかけに、渋谷区長と住友不動産との間に癒着の腐臭を嗅ぎ取り、たった一人で探り出す決意をした。区に情報開示を求め、粘り強く取材を重ねて癒着の全貌をまとめたのが本書である。
 2000年代前半、バブル崩壊で経営危機に陥った不動産企業を救済するため、小泉内閣は「聖域なき構造改革」を断行した。さらに「都市計画法」と「建築基準法」が大骨小骨を抜き取られた「総合設計制度」。この制度を悪用し、都市再開発という名のもとに違法・脱法行為が適法化されていくプロセスには慄然とさせられる。90歳の筆者が本書で訴えかけたいのは、住民の意思と暮らしを蹂躙するデベロッパーの所業とそれに荷担する行政の実態である。そして、これは渋谷区に限らず日本中どこででも起こり得るということ、同時に住民の生命と財産を守るはずの「都市計画法」が有名無実化することで街がはらむ「危険」に警鐘を鳴らしている。(たけい・はるひこ)
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