住宅生産性研究会(戸谷英世理事長)のメールマガジン第458号を転載させて戴きます。
欧米では,市民の住生活を豊かにするために,多くタウンハウスが造られ続けていますが,何故日本ではできないのか。
前回のブログにもありましたが,何ともヒドイお話です。
前回のブログ「日本の2×4工法」の秘話につながる内容です。
尚,掲載者の判断で,キーワードと思われる語句をベージュ色に表示しました。註は,掲載者がWikipedia等から引用致しました。
HICPM第458号ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
米国の2×4タウンハウス(耐火建築物)とランドプランニング
米国で1960年代以降「アパート並みの住宅費負担で,庭付き戸建住宅並みの住環境を提供する住宅地開発技術として「2×4タウンハウス(註1)とランドプランニング(註2)」が、米国の住宅地開発として「燎原の火」のように拡大し、米国の住宅産業を発展させることになりました。
米国は,2×4工法住宅の耐火性能確認大火災実験カナダの成果(1958年、セントローレンスバーンズと呼ばれるダム決壊後の廃村での実験)で、「2×4工法タウンハウスに対し、耐火建築物ができる」とするカナダ及び米国の建築法の改正を受け、米国連邦住宅庁(FHA)が、2×4工法タウンハウスのモーゲージに債務保証(MBS)を与えた。
その結果、タウンハウスに対してモーゲージが実行されることになった。タウンハウスは戸建住宅に対し、1.5~2倍もの土地の高密度利用可能にするだけではなく、エンベロップ面積(註4)を少なくして建設コストを30%以上引き下げることになり、「戸建住宅並みの住環境を、共同住宅並みの価格で取得できる」として全米に広がって行きました。
註2:ランドプランニング:敷地内での配置計画や外構設計をさします。住棟配置や管理棟、シンボルツリーや木立などの植栽計画、公園、コミュニティ広場、遊歩道、アプローチのデザイン、駐車場やゴミ置場などの配置がプランニングされます。
マボリシーハイツ(タウンハウス)と2×4工法タウンハウスモデル事業
日本でも2×4工法を普及させる取り組みが今から35年ほど前、住宅金融公庫が2×4工法タウンハウスをランドプランニングの技法で進めることで活用しようとして取り組んだ事業の一つが、青山正昂(NOVAS設計事務所)が設計し、西武不動産が施工したマボリシーハイツ(タウンハウス)です。
この開発による住宅は、現在も建設当時の価格以上で取引され、依然、高い需要に支持され、2×4工法タウンハウスの優秀性を発揮した開発です。この事業には、以下の米国の2×4工法タウンハウス・ランドスケーピング技術が、住宅の資産形成技術に採用されています。
1.前面壁面後退技術:道路幅員と同じ幅のセットバックをする
2.集合駐車場:集合駐車場により歩車空間の分離を図る
3.中庭空間:中庭空間を設けることで間口を狭め、
奥行きの長い住宅とし密度を高めている
4.ランドスケーピング:土地利用密度を高め優れた住環境を形成する
当時、全国各地で同様の優れたタウンハウスが、建設され、住宅地環境としての街並みを作る事業として社会的に評価を高めていました。
政府がハウスメーカーの要求に迎合して潰したタウンハウス事業
しかし、残念なことに、中途で大多数の差別化戦略で住宅販売を拡大しようとするハウスメーカー利益と、それと癒着した官僚、日本住宅公団理事、大規模宅地開発業者とそれらに関係する政治家の利益のために、ランドプランニングを駆使したタウンハウス事業は抹殺されることになりました。
この技術は、欧米先進工業国では優れた街づくりの技術として使われており、現代の日本においても国民の利益になる日本の住宅産業にとって救いの技術として、もう一度復興させるべき技術です。
(下記URLには,たくさんの資料とメルマガのアーカイブスがあります。)
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋2-13-3 仁藤ビル2F
TEL:03-3230-4874 FAX:03-3230-2557
ホームページ:http://www.hicpm.com/
e-mail:info@hicpm.com
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欧米では,市民の住生活を豊かにするために,多くタウンハウスが造られ続けていますが,何故日本ではできないのか。
前回のブログにもありましたが,何ともヒドイお話です。
前回のブログ「日本の2×4工法」の秘話につながる内容です。
尚,掲載者の判断で,キーワードと思われる語句をベージュ色に表示しました。註は,掲載者がWikipedia等から引用致しました。
HICPM第458号ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
米国の2×4タウンハウス(耐火建築物)とランドプランニング
米国で1960年代以降「アパート並みの住宅費負担で,庭付き戸建住宅並みの住環境を提供する住宅地開発技術として「2×4タウンハウス(註1)とランドプランニング(註2)」が、米国の住宅地開発として「燎原の火」のように拡大し、米国の住宅産業を発展させることになりました。
米国は,2×4工法住宅の耐火性能確認大火災実験カナダの成果(1958年、セントローレンスバーンズと呼ばれるダム決壊後の廃村での実験)で、「2×4工法タウンハウスに対し、耐火建築物ができる」とするカナダ及び米国の建築法の改正を受け、米国連邦住宅庁(FHA)が、2×4工法タウンハウスのモーゲージに債務保証(MBS)を与えた。
その結果、タウンハウスに対してモーゲージが実行されることになった。タウンハウスは戸建住宅に対し、1.5~2倍もの土地の高密度利用可能にするだけではなく、エンベロップ面積(註4)を少なくして建設コストを30%以上引き下げることになり、「戸建住宅並みの住環境を、共同住宅並みの価格で取得できる」として全米に広がって行きました。
註1:タウンハウス(townhouse):集合住宅の2種類のひとつである。建築法規では、一般のマンションは共同住宅、タウンハウスは長屋と称される。
長屋とは「2つ以上の住宅を1棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入口を有しているもの。(Wikipediaより)
欧米では,住居の機能・性能を変えずに,地価の高い地域でも安価に住まうことができるため,ファーストバイヤーに人気があり,多く建てられている。
註3:モーゲージ:普通はモーゲージローンの省略形。日本語にすると「不動産を担保にした貸付」ぐらいか。一般にはモーゲージローンを裏付けとして発行された不動産担保証券(MBS)のことを指す。これはノンリコースローンである。
ノンリコースローンとは,返済が不能になった時は担保だけを差出せば債務が消える。日本の住宅ローンのように,競売されても債務が残ったり,首を吊って生命保険で弁償する必要もない。貸し手責任なので,欧米の住宅金融では不動産の実質担保力が重要な意味を持つ。
註4:エンベロップ:外壁のこと。タウンハウスは連棟なので,外壁が約半分になる。
マボリシーハイツ(タウンハウス)と2×4工法タウンハウスモデル事業
日本でも2×4工法を普及させる取り組みが今から35年ほど前、住宅金融公庫が2×4工法タウンハウスをランドプランニングの技法で進めることで活用しようとして取り組んだ事業の一つが、青山正昂(NOVAS設計事務所)が設計し、西武不動産が施工したマボリシーハイツ(タウンハウス)です。
この開発による住宅は、現在も建設当時の価格以上で取引され、依然、高い需要に支持され、2×4工法タウンハウスの優秀性を発揮した開発です。この事業には、以下の米国の2×4工法タウンハウス・ランドスケーピング技術が、住宅の資産形成技術に採用されています。
1.前面壁面後退技術:道路幅員と同じ幅のセットバックをする
2.集合駐車場:集合駐車場により歩車空間の分離を図る
3.中庭空間:中庭空間を設けることで間口を狭め、
奥行きの長い住宅とし密度を高めている
4.ランドスケーピング:土地利用密度を高め優れた住環境を形成する
当時、全国各地で同様の優れたタウンハウスが、建設され、住宅地環境としての街並みを作る事業として社会的に評価を高めていました。
政府がハウスメーカーの要求に迎合して潰したタウンハウス事業
しかし、残念なことに、中途で大多数の差別化戦略で住宅販売を拡大しようとするハウスメーカー利益と、それと癒着した官僚、日本住宅公団理事、大規模宅地開発業者とそれらに関係する政治家の利益のために、ランドプランニングを駆使したタウンハウス事業は抹殺されることになりました。
この技術は、欧米先進工業国では優れた街づくりの技術として使われており、現代の日本においても国民の利益になる日本の住宅産業にとって救いの技術として、もう一度復興させるべき技術です。
(特定非営利活動法人 住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)
(下記URLには,たくさんの資料とメルマガのアーカイブスがあります。)
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋2-13-3 仁藤ビル2F
TEL:03-3230-4874 FAX:03-3230-2557
ホームページ:http://www.hicpm.com/
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