2022年4月15日金曜日

真の農村振興策(現在の農政について)


『週刊農林』第2476号(3月25日)に、掲載された記事です。

著者は、キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)の研究主幹山下一仁氏です。
内容は、「農林水産省の農村政策に関する報告書を読んだ率直な感想」ということですが、
山下氏の以前からの考え方に基づいて、米作を中心とした農政を批判しています。

編者は、「半農半Xや農村マルチワーカー」に対する批判はその通りだと思います。成功するとは考えられません。ただ、余剰水田の活用については、山下氏は米の輸出で解決できるとしていますが、スマート・テロワールでは畑地化と輸入に依存している米以外の穀物(トウモロコシ、麦、大豆など)の生産を提唱しています。

農林水産省に根本方針を転換して欲しいという部分ではスマート・テロワールと全く同じですので、山下氏の論説をご紹介させて頂いております。

編者註
半農半Xとは 「農業収入の他に、兼業収入を加えて生計をたてるライフスタイ ル」 を指す言葉です。.

マルチワーカーとは、は複数の仕事を掛け持ちしている状態であり、時間や季節ごとに様々な仕事を組み合わせて働く労働者のこと。

重要な部分だけ引用します。
残りは、下にURLを添付いたしますのでお読み下さい。
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引用です。

半農半Xや農村マルチワーカーという兼業農家育成策が成功するとは考えられない。これが経済的に引き合うなら、既に多数の者が出現しているはずだからである。一部にそのような人が出たとしても、日本の農村がこれで活性化するようなことは考えられない。

関係人口の増加も同じである。“にぎやかな過疎”というキャッチコピーは面白いが、過疎集落のほとんどを“にぎやか”にするために、どれだけの人が関係人口として参加しなければならないのだろうか?今どれだけの関係人口がいるのか、どれだけのにぎやかな過疎があるのか、調べてもいないだろう。田舎や家庭菜園が好きな都市住民がいないではないが、極めて少数派である。温泉などの観光地は別として、かなりの都会人が田舎に行くと、1日、もって2~3日で都会に帰りたいと言い出す。

農業は製造業と異なる。農業は土と結びついているからである。トヨタのカローラは、日本で作ってもアメリカで作ってもカローラである。しかし、農業は違う。同じコシヒカリを栽培しても、新潟県魚沼産と一般産地では大きな品質・価格差が生じる。ある農業グループの調査によると、香港では、同じコシヒカリ(一キロ当たり)が、日本産380円、カリフォルニア産240円、中国産150円で売られていた。ブドウもおなじだ。カバルネ・ソービニオン、ピノ・ノワールなど多数の品種があるが、同じ品種を栽培しても、できるワインには地域によって差がある。

真の農村振興策

https://cigs.canon/article/20220412_6698.html

(編者意見)
半農半Xは現在の兼業農家と、農村マルチワーカーは契約社員と同じではないでしょうか。

農村振興政策の根本的間違い
https://cigs.canon/article/20220408_6696.html
要点:地域人口を維持しようとすると、仕事・雇用を確保しなければならない。農林水産省の報告書は「地方への人の流れを加速化させる」と言うが、今地方へ人が流れているのだろうか?仕事がないところに人が流れるはずがない。地域の基礎には、産業が必要である。つまり、地域振興には産業政策が必要なのだ。産業政策がなければ地域政策も存在しない。地域政策は産業政策の従たる存在である。

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