2020年5月7日木曜日

人間として自然界に貢献できるのは知性である


東京市ヶ谷法曹ビルに事務所を構える
賛助会員高井伸夫先生の機関誌から、原稿を頂戴いたしました。
松尾雅彦さんの理念・思想と同じものを感じました。

「このようなアカデミズムの崩壊が目前で行われているにも関わらず、
日本の知識人は無言を貫いています。」
という記述がありますが、その頂点にいるのが東京大学です。
Noblesse Oblige  の欠如です。
日本衰退の根っこにあるのがこの事実ではないでしょうか。(安江)

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高井・岡芹法律事務所発行「Management Law LetterNo.116 2020年 春風号より
  
人間として自然界に貢献できるのは知性である
株式会社ぷらう 代表取締役社長 石川祐一

因果関係論という法律の概念が用いられたのは、いつの事でしょうか。因果関係論を用いず、世の中の出来事はすべて偶然の連続であるということを前提とした社会では、弁護士という職業はなくなると思います。因果関係論を用いていない社会は西欧近代文明の影響を受けていない社会で、その地域では基本的に因果関係論の虜になっている人間はいません。その地域では、因果関係論に依拠した、法に基づく刑の情状酌量等はないはずで弁護士の活躍する場面も限られることでしょう。
人間は、日々起こる出来事を、その事象と事象をつなぎ合わせて考え、一つの法則をつくることが、動物との違いであると考えています。一方、人間は連続して経験をするとその出来事がまた起こるという錯覚に陥ります。つまり経験が因果関係論を生み出し、それが絶対真理であると誤解します。しかしその錯覚は人間による妄想と考えられます。人間は、因果関係の存在を思考の中心に置いてしまうと、自ら将来を予想できるなどと僭越至極な錯覚に陥りがちです。人間が自然界で雪崩を予想できるのは、その経験値から因果関係を基にした思考により予想するものです。しかしながらこの予想は哀れなもので、冬山で雪崩によって遭難する山男の数は過去から枚挙に暇がありません。春先、雪解けの山中では動物の雪崩による死骸はまったく見ることはありません。動物はなぜ雪崩に巻き込まれることなく冬山で過ごすことができるのでしょうか。因果関係論に勝る理論を動物たちが、備えているのでしょうか?被害に遭わないということは、人間より優れた何かを持ち合わせていることに違いありません。
人間と動物の違い等を議論すること自体、西洋キリスト教文明社会の中ではタブーと思われます。動物と人間が違うという前提で、人間中心の自然科学万能の近代文明が出来上がっていることは間違いありません。動物と人間との違いをあえて述べれば、それは理性・知性・感性のうち、知性と感性に違いありません。理性は動物も人間も大差はありません。理性が人間の最大特性であると述べ続けられ、近代文明は発展してきました。しかしながら、理性は冷静に考えれば、人間も動物も大きな違いはないと考えます。睡眠欲・食欲・子孫保存欲に大きな違いはありません。また感性は、雪崩の実例を見るまでもなく、動物が人間に優っている特性であると確認できます。一方、知性を磨き、さらにその知性を基にした因果関係の論法を以てしても、雪崩の予想に関しては、動物に劣ることは間違いないようです。理性では同等・感性では負け、知性において何とか動物を凌駕する可能性があるのが人間です。人間が動物より優れているということは危うい事実に基づいているように思います。
動物に勝るため、尚一層磨かなければいけない知性に関して現代社会の中では蔑ろにされていることは、大学のアカデミズムの崩壊の現場を見るにおいて顕著です。学生諸君の在学中の最大関心事は、アルバイト・クラブ部活動・就職活動であり、学業はその中に含まれていません。また教授をはじめとする関係者の給与水準が低く、研究費も十分ではなく、優秀な人材が大学に残り研究者・教育者として将来大学でアカデミズムを発揮する環境にはありません。政府の予算も大学支援に対しては消極的、いや寧ろ積極的に予算の削減を行っています。このようなアカデミズムの崩壊が目前で行われているにも関わらず、日本の知識人は無言を貫いています。私は知性を基にした因果関係論が、人間本来の感性を阻害していると考えていますが、一方、人間として自然界に貢献できるのは知性であると確信しております。大学の卒業証書は、生涯学習を約束した者に手渡す始業証書であり、大学では一生涯に渡り勉学するものを見出す場所であると考えます。我々は生まれながらにして社会人であり、大学を卒業したら社会人になるのではなくプロフェッショナルになる訳です。プロフェッショナルは、生涯勉強し続けることを約束して成り立つものであるということが社会一般の常識となるよう、生涯学習の重要性を喚起すべき時と考えます。




株式会社ぷらう
代表取締役 石川裕一

当社は、設立以来、北海道の良好な自然環境を次世代へ伝えるべく自然との共生を第一義的に考え不動産事業を展開してまいりました。
北海道は大陸と陸続きの時代にヒトがやってきて以来の連綿とした歴史がその風土の中にあります。どこまでも続く地平線、広大な森林に囲まれた山並み、そして滋養に満ちた海に囲まれる自然が本来の北海道です。しかしながら札幌をはじめとした各都市は、既にその自然を感じさせる環境はなくなってしまい、東京を模写したありふれた地方都市の姿しか認められません。北海道には美しい大地、これまでの人の手で育てられた恵まれた風土や文化がありますが、現在、自然界の生態系の破壊から発する環境問題をはじめ解決しなければならない問題点も多々あります。私どもが生きている現在は、太古から続く北海道の歴史のほんの一瞬です。当社はその一瞬を認識して事業展開を進めております。
当社は、このような既存の北海道の資源である土地と人材を活用し、北海道から世界へ不動産事業を通じてさまざまな問題解決に貢献する新しいビジネスモデルの創造を目的として事業を続ける所存でございます。

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