2020年3月2日月曜日

テロワール:日本酒が「世界酒」に!

テロワールというのは、
もともとワインを作るためのブドウ畑のことを言います。

ブドウ畑は、天候、土壌、水はけ、有機成分などによって
ワインの味が大きく左右されます。
NHKのクローズアップ現代では、
テロワールを次のように説明していました。

原料づくりから醸造まで同じ土地で行なっている

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NHK クローズアップ現代 2019年11月14日(木)

日本酒が「世界酒」に!~SAKE革命~


日本酒が世界で作られるようになり、驚きの進化を始めている。和食人気が広がるアメリカでは、SAKEを醸造するクラフトバーがニューヨークで人気を集め、コメも水もアメリカ産にこだわった新しいSAKEが。フランスでは、ワインの作り方を取り入れた、こだわりのSAKEが。世界で始まったSAKE革命ともいえる動きを追い、日本酒の可能性に迫る。

出演者

  • 田崎真也さん (ソムリエ)
  • 武田真一 (キャスター)

熱血蔵元が挑む アフリカにも日本酒が!

赤道直下の国、アフリカのウガンダ。
躍動する、こちらの日本人男性。岩手県にある老舗酒蔵の5代目蔵元、久慈浩介さんです。
今、新たな発想で、世界中にSAKEの魅力を広げようとしています。
南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「日本の岩手県から来ました。日本の北部です。とても寒い場所です。純米吟醸。“吟醸”とは、とても洗練された酒という意味です。」
「とてもいいですね。味わいが豊かで香りもすばらしく、滑らかでした。」

南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「最高に手応えを感じました。ウガンダで、日本酒が広まらない訳がない。絶対に広がっていく。」
現在、国内での消費量がピーク時の3分の1に減少している日本酒。海外での需要を増やそうと、久慈さんはこれまで、46の国と地域に日本酒を輸出してきました。
更に、世界各地で現地生産にこだわった“新しいSAKE”を生み出す取り組みも始まっています。

米も水も酵母も…NY生まれの新しい酒

南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「ニューヨークに来ると、『ただいま』という感じですね。」
久慈さんは、自らの酒造りの技を惜しみなく現地の人々に伝授しています。
南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「酒のいいにおいがする。」
この日、去年から酒造りを教えている酒蔵を訪ねました。
ここで杜氏を務めるのは、元科学者の男性。経営者は、元金融マンです。2人は日本を旅行した際、日本酒の魅力に魅せられ、一緒に酒造りをすることに決めました。
ブルックリン・クラ 杜氏 ブランドン・ドーンさん
「日本の酒蔵で、出来たての日本酒をいただく幸運にありつきました。びっくりするほど、おいしかった。アメリカでも、同じようにおいしい酒を造りたいと考えるようになったんです。」
酒造りに必要な設備は、自前で用意。原料となる米や水、酵母も全てアメリカ産。その土地ならではの風味を生み出す“Terroir(テロワール)”を大切にしています。
醸造途中のSAKEを確認しに来た、久慈さん。発酵のスピードが遅く、甘すぎると感じました。
南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「発酵が弱いかな。(発酵が)遅いのかな。」
発酵のための酵母をうまく作用させるには、糖分を薄める必要があると指摘しました。
南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「糖が濃糖状態だと、酵母がエイ!といけない。これを薄めてあげると、追い水なんかで薄めてあげると、バランスがとりやすいかなと。」
ブルックリン・クラ 杜氏 ブランドン・ドーンさん
「なるほど、分かりました。」
ニューヨークの酒蔵で、柑橘系の爽やかな香りが特徴の“新しいSAKE”が生まれました。
ブルックリン・クラ 杜氏 ブランドン・ドーンさん
「久慈さんは、アメリカの寓話の主人公・アップルシードのよう。アメリカ建国当初、アップルシードは国中にリンゴの種をまいて回った。久慈さんは、まさに“SAKE版アップルシード”。世界中で酒造りの種をまいてくれる久慈さんは、私たちの大きな道しるべです。」
南部美人 蔵元 久慈浩介さん
「遠い先か、近い未来か分からないが、(外国産の“SAKE”が)僕らの酒のレベルまで、それを超えていく時代が来るかもしれない。そういうときが来たら、僕は初めて『日本酒って世界で認められるんだな』と言える。」

ワインの本場 フランス生まれの酒

ワインの本場、フランス。
ここで、“Terroir(テロワール)”を追求した新たな酒造りが始まっています。
萬乗醸造 代表 久野九平治さん
「もう田んぼだよ。もう用意してある。」
江戸時代から続く酒蔵の15代目代表、久野九平治さん。
久野さんが米を栽培しているのは、フランス最大の米産地カマルグ。品種は酒米に向いた性質を持つ、「マノビ」を選びました。広大な土地で田植えをするフランスでは、トラクターを使って種をじかまきします。マノビの種は、鳥に食べられたり、風で飛ばされたりしないよう、鉄分で赤くコーティングされています。
久野さんが現地の米にこだわる理由。それは、ワインの本場フランスで“Terroir(テロワール)”が重視されているからです。
萬乗醸造 代表 久野九平治さん
「フランスでとれたお米だよ、あなたたちの国でとれたお米だよ。原料からアプローチのかかっているものじゃないと、すんなり受け入れてくれない。」
久野さんは今、試験的に日本で酒造りを始めています。しかし、味を左右するポイント、米を磨く精米作業で、思わぬ事態が発生しました。久野さんは日本の酒米の場合、50%から60%まで削り、雑味をそぎ落としています。ところが…。
萬乗醸造 代表 久野九平治さん
「もう、これ限界ですね。」
「(機械を)止めたいぐらい。」
マノビは日本米に比べてもろく、精米の途中で割れてしまう米が予想以上に多かったのです。
そこで久野さんは、米をあまり削らないことにしました。その方が、フランス米の個性を引き出せるという逆転の発想で、新しいSAKEを造れると考えたのです。
萬乗醸造 代表 久野九平治さん
「日本だと、50%ぐらい(米を)磨く。逆にフランスの米は磨かないほうが、フランスの米の個性が出る。どれくらいお米を磨いたほうがいいかを見つめるためのいい機会になった。」
こうした試行錯誤を経て完成したのが、このお酒。
果たして、現地の人の口に合うのでしょうか。
久野さんが向かったのは、フランスを代表する5つ星ホテル“リッツ・パリ”。このホテルのトップソムリエがテイスティングし、認められれば置いてもらえることになります。
リッツ・パリ ソムリエ エステル・トゥゼさん
「カマルグの米のお酒ですね。とても興味深い。日本の米で造ったものとは香りが全く違います。ミネラル感があり、後味に土壌の塩気が残る。フランス米のお酒は、爽やかで、ヨーロッパやフランスの人にとって、とても飲みやすい。フランス最高の米の産地のお酒ですから、受け入れられて当然でしょう。」
今夜はスタジオに、世界各地のTerroir(テロワール)を反映したSAKEをご用意。
一体どんな味がするのでしょうか。

ソムリエ田崎真也さん 新たな酒の魅力を語る

ゲスト田崎真也さん(ソムリエ)
武田:こちらはVTRにもありました、フランスのお米で造ったSAKE。音がいいですね。では、頂きます。
田崎さん:頂きます。
武田:あっ、これ独特ですね。
田崎さん:リッツ・ホテルのソムリエの女性が言っていたことが、よく分かりますよね。香りは米由来の香りと、中に少しバナナとか、洋なしとか、ほんのりライチのような香りが感じられたり。あとはグリーンのメロンのような香りが感じられるんですが、そのあとに酸味もフレッシュに感じるというよりは、溶け込んで、バランスよくなっています。全体が同じようなバランスで、甘みを感じながら、そのままやわらかく滑らかで、ずっと余韻まで持続をするという感じですね。
武田:さあ続いては、こちらいきましょう。ニュージーランドで造られたSAKE。これ「全黒」っていうんですけど、なんで「全黒」という名前か。
田崎さん:え~。米が黒米なんですか?
武田:違います。ニュージーランドで全黒。
田崎さん:ん?あ、オールブラックス。
武田:オールブラックスということで、全黒というふうに名付けられたそうなんです。
田崎さん:へえ~、難しいですね。そっちの方が難しい。
武田:いかがですか?
田崎さん:香りは華やかな印象と、穏やかに感じる米由来の香りとか、非常にバランスよく調和しています。ニュージーランドでもよく食べます、大きいロブスターを、そのまま特に何もつけずに塩味だけでボイルしたものを食べて、このふくよかでクリーミーなうまみで、さらに味を引き立てる、みたいな味わいですね。
武田:すばらしい表現ですね。私は、本当にひと言、うまいとしか言いようがないんですけれども。
田崎さん:でも、それはまず大事ですね。まず、おいしいっていうのが大事だと思いますから。
武田:VTRでは、Terroir(テロワール)という言葉が出てきましたが、こうして味わってみますと、それぞれ個性がありますよね。
田崎さん:そうですね。実際には、お米は同じ品種の、例えば山田錦でも、いま日本ではかなり各地で作られていますけど、作る場所によって、米の性格や性質が、最終的には品質が変わってくるわけですね。そうすると、米にもやっぱりTerroir(テロワール)があって、そして、日本酒造りって、水の性質も大事なので、その出来た米の場所で造ったとすると、そこの水質が味に影響するし、造ってる最中の気候なんかも非常に影響を与える。つまり、米と造った場所が同じであると、出来た酒はやっぱりTerroir(テロワール)を表現してるというふうに言えるんじゃないかということです。

世界で造られ始めたSAKE。アメリカやヨーロッパだけでなく、SAKEの醸造所が誕生しています。
武田:田崎さんは、こういった動きをどういうふうにご覧になってるんでしょうか。
田崎さん:すばらしいことだと思いますよね。先ほど、日本の酒蔵の方がおっしゃっていたように、もっともっとどんどん造っていくべきだと思いますね。もし世界中でこのSAKEが飲まれるようになると、日本国内で造る生産量では圧倒的に足りなくなる時代が来ますよね。それと、SAKEの面白さっていうのはTerroir(テロワール)にもあるんだということが理解され始めますと、それぞれの違った気候風土で育った米で、そこの水で、そこの気候で造られたSAKEの味というのが比較されながら、いろんな食卓で、いろんな形で提供されるようになってくるのではないかと思いますので、すごくいいことだと思いますね。そのお酒が、どんどん品質がよくなるに従って、日本の酒も同様に進化していくんじゃないかと思いますし、消費者にとっては面白みがものすごく広がってくるんじゃないかと思いますからね。
日本酒が世界で人気を集める理由の一つが、「うまみ成分」。ビールやワインに比べて、うまみ成分のグルタミン酸が多く含まれています。
武田:日本酒の中に「うまみ」って感じるものですか?
田崎さん:最初にまず甘み感じますよね?で、飲み込んだあとに舌全体、特に舌の両サイドに意識集中して頂くと、何か塩味を含んだような味わいが残ってますでしょ。
武田:ちょっとこう…よだれが出てくるような…。
田崎さん:あんまりいい表現じゃないかも…まあまあそんなような感じです。その味が「うまみ」です。
武田:これが「うまみ」か。
田崎さん:このやわらかい甘みを感じるような「うまみ」と、日本酒の中に含まれている糖分というか、甘みがうまい具合に調和して、いろんな食べ物の甘うまみをそのまま引き立ててくれるというので、合わないものはないっていう…。例えば、フランスで昔から、卵料理にワインは絶対に合わないというふうに言われてるんです。卵食べたあとにワインを飲むと、苦みを感じたり、ちょっと異様なにおいが出てきてしまったりとかで、卵料理は合わないといわれているんですが、日本酒というのは、卵の味をそのままふくよかにクリーミーに、香りも華やかに引き立てるというような点があったり、レタスとかキュウリとかトマトも含めた生野菜を食べるときもワインは難しい。でも日本酒を合わせると、全部の野菜の自然な甘みを引き立てながら、キュウリの香りも、ある意味メロンのように華やかな印象として引き立てるとか。
武田:日本酒は万能なんですね。
田崎さん:万能なんですよ。
武田:こんなにおいしいんですもんね。本当に世界中に広まってほしいなと思います。
さあ、各国でSAKEの現地生産が活発化する中、世界的に有名な、あのお酒を手がけてきた巨匠も日本酒造りに挑戦。これまでにない日本酒が生まれようとしています。

“ドンペリ”の巨匠 常識を破る酒造りに挑む

世界を魅了する高級シャンパン、ドン・ペリニョン。通称“ドンペリ”。長年、このドンペリを手がけてきた世界的巨匠が、日本で酒造りを始めることになりました。
リシャール・ジェフロワ氏。ドンペリの最高醸造責任者を、およそ30年にわたり務めたシャンパン界の帝王です。
ジェフロワ氏は今、日本人にはなかった発想で、新しい日本酒を生み出そうとしています。
「純米吟醸です。」
パリの一流すし店で、日本酒を楽しむジェフロワ氏。ドンペリのPRで日本を訪れた際、日本酒の虜になりました。
“ドンペリ”元最高醸造責任者 リシャール・ジェフロワ氏
「力強い香りですね。気に入りました。地球上のすべての人々に、日本酒の魅力を伝えたい。」
“人生の最後は、日本酒造りにかけたい”
ジェフロワ氏はフランスを離れ、富山県立山町を自らの酒造りの拠点に決めました。酒米を造る農家や、地元の酒蔵などが全面協力。町を挙げた巨大プロジェクトが動き始めています。
“ドンペリ”元最高醸造責任者 リシャール・ジェフロワ氏
「立山が、世界の中心になる。」
ジェフロワ氏は、ドンペリ時代に培った技で日本酒を造ろうとしています。
ドンペリを世界屈指の地位に押し上げたのが、フランス語でブレンドを意味する「アッサンブラージュ」の技。複数の酒を混ぜ合わせて、究極の味を生み出してきました。
“ドンペリ”元最高醸造責任者 リシャール・ジェフロワ氏
「アッサンブラージュ(ブレンド)によって、味や香りが異なる酒を混ぜ合わせ、対立させたり、補い合わせたりすることで、すばらしい調和が生まれるのです。」
アッサンブラージュによる酒造りを実現するため、ジェフロワ氏は3年かけて下準備を進めてきました。
まず、ブレンド用の日本酒を富山県の老舗酒蔵に特注。原料となる米の品種から酵母の種類に至るまで、全てジェフロワ氏の指示どおりに造られ、今年の春ようやく完成。ジェフロワ氏は、その中から15種類の日本酒を厳選。
“ドンペリ”元最高醸造責任者 リシャール・ジェフロワ氏
「この2つはナッツのような味で、舌に残る特徴があります。」
味の特徴を見極め、およそ半年、試行錯誤を繰り返し、ブレンドの配合が決まりました。
“ドンペリ”元最高醸造責任者 リシャール・ジェフロワ氏
「これまでの日本酒は、飲んでしばらく経つと、味や香りが徐々に弱まっていくのに対して、私の酒は、人々がその酒を口にすると、味や香りの特徴がどんどん強くなり、ふくらみを増すのです。」

独自の味や香り…日本酒に新たな可能性

武田:複数の異なるお酒をブレンドする、アッサンブラージュするという発想なんですけど、これは、今までの日本酒の世界にはあまりなかったことなんですか?
田崎さん:日本酒の世界では、ほとんどなかったと言えるんじゃないかと思います。1+1から3を生み、1+1+1から10をも生むみたいなイメージなんですね。
武田:ジェフロワさんとは田崎さんは長年親交がおありで。
田崎さん:そうですね。もちろんドン・ペリニョンを通じてですけど。
武田:実は、昨日お電話をされたということですけれども。どんなお酒になるというふうにおっしゃってましたか?
田崎さん:日本酒の全てのよさを持ちながらも、ハーモニーを築いていく酒を造ってるんじゃないかと思います。例えば、オーケストラのようなイメージで、それぞれすばらしい演者じゃないといけないわけで。でも、それぞれ違った音を出してるわけですから、それらをうまい具合に調合することで、一つの音楽を作り上げていくというようなイメージなんですね。最後に、スポイトというか、注射器で1滴ずつ垂らしながら加えてましたよね。
武田:あの一滴には何の意味があるんですか?
田崎さん:あれは、料理人さんがソースを完全に仕上げていくようなイメージ。特にはっきりと個性を持ったものを半分まで使ってしまうと、その個性に寄っていってしまう。そうではなくて、この強い個性を持った酒は、出来上がってある程度まとまったものだが、最後にこしょうをちょっと振った方がいいかなと思うような量をちょっと加えることによって、全体が、より芳じゅんに華やかになりながらも、ハーモニーを築くことができるという感じ。
武田:じゃあ、これはこしょうの役割だぞと言って一滴たらすと。
田崎さん:でも、それを食べた結果、こしょうが出過ぎちゃ駄目なんですよね。わぁこしょうが利いている、じゃ駄目で、こしょうを入れたことによって、全てがまとまるというような調合をしてるので。まさに、それはもうドン・ペリニョン、シャンパーニュで培った。シャンパーニュというのは、まさにアッサンブラージュありきの飲み物ですので。
武田:こうして見てきましたように、海外や外国人の人たちによって育まれている新しい日本酒の姿。これ、私たちが古来持っていた日本酒の魅力に、改めて海の向こうから気付かされたような気がするんですけれども。これから日本酒ってどう変わっていく可能性があるんでしょう。
田崎さん:まさに今おっしゃられたように、昔から日本人が日本酒を飲むというのは、フランス人が食卓でワインを飲むように、食事をもっとおいしく食べるためにワインを選ぶというのではなくて、日本酒を飲みながら適度に酔って、心地よくなって、コミュニケーションツールとする会話が弾んで、というふうにするSAKEが中心であった飲み方だったんですね。でも、ヨーロッパやアメリカなどで、自分たちが食べてきた食事と共に飲むことによって、食中酒として日本酒が認められたということになるわけなんですね。
武田:食中酒?食事中に飲む?
田崎さん:食事中に。その食中酒というのは、つまり食事がメインで、食事をよりおいしくするために、最後に口の中で調和することができる調味料とか、ソースのようなものということなんですね。ですから、肉で赤ワインを飲むのは、このアルコールの作用ではなくて、赤ワインにある苦みや渋みというのがスパイスの代わりとなって、肉をおいしく食べられる。魚に白ワインを飲むのは、酸味が強いですから、レモンをかけるようなイメージで、魚料理の白身魚の味がおいしくなる、というような意味合いです。日本酒は、フランス料理にもイタリア料理にも合うというふうなことになると、それが、海外から日本に戻ってきた時に、改めて日本人が日本食と日本酒のペアリングって実はどうなの、というふうなことに気付かせてもらえるかもしれない。そうすると、日本の食文化も海外から逆輸入された形で変わってくる可能性はありますよね。
武田:今、日本酒っていうと、一番高級なのが、純米大吟醸というのがありますよね。そういった、この日本酒のヒエラルキーと言いますか、体系。どうなんでしょう。日本酒の世界もやっぱり変わっていくんでしょうか。
田崎さん:そこが頂点ではなくて。ずっと下に純米酒があるということではなくて、大吟醸も吟醸酒も純米酒も本醸造も普通酒も、タイプであるっていうふうに。そこに、さらに熟成した古酒があったり、甘い日本酒の貴醸酒というお酒があったり、日本酒っていろんなタイプがあるということにしていった方がいいと思いますね。
武田:ますます、豊かな食とお酒の世界がどんどん広がっていく。
田崎さん:ものすごく広がってくる可能性を秘めてるということですね。

独自の味や香り…新たな酒が続々誕生

フランスで、また一つ新たなSAKEが生まれようとしています。
今年、日本人が初めてパリ郊外に酒蔵を建設。フランスの米を原料に、水も現地のものを使います。さらに、酒造りに必要な酵母も、ワインの醸造に使われるフランス産にこだわろうとしています。
「私たちはテロワールを反映させたいので、フランスの土地に合った酵母を探しています。」
究極のテロワールを目指しているのです。
WAKAZE 杜氏 今井翔也さん
「(フランスの)考え方も思想も技術も、日本酒の文脈に取り込みながら、新しい伝統を作っていく。」

さらに、アメリカでは、英語で酒造りを教える講座も。これまで、世界各地からおよそ2,000人の受講生が参加しています。
受講生
「ブラジルで、自分の酒を造ってみたいわ。」
世界で巻き起こるSAKE革命。
今後もあなたの想像を超える、新たなSAKEが生まれるかもしれない。
そんな未来に乾杯。
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