2012年11月26日月曜日

今後の日中関係について(その2)

 前回に引き続き,高田勝巳氏からレポートを頂いたので,ご紹介致します。
 中国人女性と結婚し,中国で生活し,事業もやっているという日本人は稀だと思いますので,そのようなお立場の方からのレポートは非常に貴重だと思うからです。
 現在その9までありますが,今後増えていく感じです。逐次ご紹介致します。

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2012年10月7日配信 

 昨日、上海の友人と久しぶりにゴルフに行きました。上海生まれて欧米の大学で経済学修士号を取得して帰国した人材で、今は投資関連の会社の社長です。 日頃から中国の情勢に分析に関し国際的な視点に立った発言をされるので、中国情勢についてもよく意見交換する中です。
 18ホール回りながらとても参考になる分析を聴けましたので、皆さまにご紹介したいと思います。(ちなみに、話に夢中になったのせいで(と言う事にしておきます。)ゴルフのスコアは115とガタガタでした。前回やっと100を切れたのですが。)

1.今回の釣魚島をめぐり日中の紛争は、中国の権力闘争の結果、必要以上に激化した。 

2.胡錦涛は、習近平に党主席の座を渡した後も、自分が江沢民にされたように、中央軍事委員会主任の地位を維持したいと考えている。習近平は、江沢民の下で苦労した胡錦涛を見ているので、一気に中央軍事委員主任の地位も獲得しようと動いている。

3.そもそも、これまでの政権交代は、毛沢東が殀小平を選び、殀小平が江沢民を選び、江沢民が胡錦涛を選んだのであるが、今回胡錦涛が習近平を選んだわけでないことが、問題の根源にある。

4.二人の関係は、胡錦涛と習近平が激しく口論し、習近平が一時党主席の地位を辞退したとの噂もあったほど。

5.今回、日本と釣魚島をめぐるやり取りがあるなかで、お互いが日本に対する弱腰を批判されたくなく、結果、日本に対する強権姿勢がお互いを牽制するなかで強まってしまった。

6.そうした中で、ウラジオストックで胡錦涛主席が野田首相に国営化をすると中国国内が治まらないので思い留まるよう訴えたのであるが、結果はこの通り。中国にとっては、本当に悪いタイミングに国営化をしてくれたと思っている。

7.デモの問題は、薄煕来と周永康政法委書記の問題が絡んでいる。失脚した薄煕来に近かった周永康は、江沢民の一言で中央委員昇格への目をそがれ、失意の中で、所管の公安系統へのデモへの関与を指示したとみられている。そもそも、薄煕来の失脚も、引退後も権力を維持したい胡錦涛が仕掛けたものとみられており、胡錦涛VS習近平に周永康が入り込み、今回の問題をより複雑にしてしまったようだ。

8.今回、今回胡錦涛が自らの後継者を選べなかったことは、中国共産党の統治力が弱まっていることとみている。習近平の次はもっと混乱するはずで、個人的にはその次は、一党独裁を放棄して多党制の共和制に入ることを期待している。中華民国の時代は、多党制であったわけで、決して絵空事ではないと考えている。これが実現すると中国の国力は更に強くなるので20年中国に投資する余力があるなら今は投資のチャンスと考えている。 

9.なお、釣魚島の問題については、中国のネットでも騒がれているが、人民日報1953年1月8日版に中国が尖閣諸島を日本の領土として認めている記事がある。これは毛沢東時代のもので、毛沢東は尖閣列島を日本のものと認めていたということになる。こういうことであれば、中国共産党は、釣魚島の主権を主張するべきでないと考える。中国は、こういう場当たり的なことをするから、国際的な尊敬が得られないのだと思う。ただ、中華民国を継承する台湾は認めていないので、主張する権利があると思う。中国にとって賢いやり方は、台湾に主張をさえておいて、台湾を支持するという立場をとればいいのだと思う。これであれば国際的にもメンツが立つと思う。

  如何感じられましたでしょうか。私のコメントは以下の通りです。

1.彼は共産党員でもなく一民間人ですので、彼が周辺で情報収集と分析した結果ではありますが、結構冷静に情勢を分析していますね。権力闘争の話は、中国の内輪もめの話ですので、本来日本には関係ないのですが、日本にとってはこれだけ影響力のある国ですから、日本はやはり器量と度量でうまく泳いだ方がいいですよね。そう考えると、今回の国有化は、本当にタイミングが悪かったですね。

2.中国共産党としては、尖閣の領有権を主張するべきでないけど、台湾がすればよいという考えも、おもしろいですよね。冷静なひとでも、中国人として尖閣の領有権を主張するという気持ちは変わらないわけですね。 

3.中国の多党制への移行は、将来いつかはあるのでしょうね。今後しっかり見極めて行かないといけないと思います。

4.最後の、人民日報の話、日本は、国交正常化の時になぜ持ちださなかったのでしょうかね。焦ってしまったのでしょうか。結果論ですけど、台湾は主張しているけど、中国は主張しないと言質をとれば今日のような事態にはならなかったのかもしれませんね。周恩来と殀小平が賢かったのでしょうか。今となっては、中国側にとっては、棚上げ論が既成事実化してしまっているので、今日のような状況になっているのですが。残念ですけど、まず、棚上げ論の戻すのが現実的な方策なのでしょうね。

5.彼に私のレポートの話をしましたら、中国語版を楽しみにしているとのことで、周辺の中国人にも転送してくれるそうです。意見が聞けたら報告します。 

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