2018年6月10日日曜日

スマート・テロワール通信 第11回

「庄内自給圏をつくる会」準備委員会が始動
                   第11回 2018年05月30日

3年目の取り組みスタート 鶴岡市長が協力の意向
庄内スマート・テロワール形成に向けた取り組みは、4月で3年目に入った。

山形大学農学部と山形県農業会議、生産者らによる「庄内スマート・テロワール実践会議」の2018年度初となる定例ミーティングが4月19日、鶴岡市内で開催された。この日の定例ミーティングでは、今年度の活動目標やスケジュールなどが共有された。
また、同日、スマート・テロワール協会の中田康雄と山形大学農学部、山形県農業会議が鶴岡市の皆川治市長に面会し、趣旨に賛同して「協力する」との言葉を受けた。定例ミーティングのメンバーからは、市との連携に期待する声が挙がった。ミーティングの内容は、5月26日のミニシンポジウム(平成30年度戦略講演会)で、関係者や住民に報告される。

大学と学外の専門家らが連携し、体制を強化

山形大学農学部「寄附講座」から始まった活動は、手探りのなかで研究者や生産者、加工業者、小売業まで、それぞれの専門家たちが参画し、次第に体制が整ってきた。新たに研究者、若手の生産者、大学院生らを迎え、取り組みはさらに活気づきそうだ。ここで、あらためて現在の体制の全体像を紹介する。
17年11月に山形大学農学部、山形県農業会議による「庄内自給圏をつくる会」準備委員会が設立された。「庄内自給圏をつくる会」準備委員会は、次の3つが連携して活動を進めている。

(1)寄附講座委員会 
山形大学農学部の研究推進部門。畑輪作体系と飼料調製給与の2つの研究に加え、今年度より生産者が実践したとき経営が成り立つかどうかという経営評価を進める。 

(2)庄内スマート・テロワール実践会議 
庄内スマート・テロワールの定例ミーティング。スマート・テロワール協会の中田康雄のほか、各部門の担当者が参加している。研究推進部門(山形大学農学部教員)、地域連携推進部門(山形県農業会議)、協力推進部門(学外専門家、生産者、鶴岡市)、センシング・ICT部門(鶴岡高専教員) 

(3)チーム・マーチャンダイジング 
農畜産物の加工品の開発と、販売促進をする。畜肉、馬鈴薯、大豆、小麦の4つのチームが設けられ、(2)のメンバーのほか、生産者、加工業者、小売業者が参画している。 


若手生産者2人が畑輪作の実地試験をスタート

「スマート・テロワール」では、大学内の実証展示圃に加え、実際の生産規模に近い面積で、実地試験をするモデル農場を設けることを提唱している。最終的には、大学と生産者が連携して、地域の生産者に栽培から経営までのモデルを示すセントラル農場として機能することを目指すものだ。 
今年から、鶴岡市内の若手生産者2人が、山形大学・山形県農業会議と連携しながら畑輪作の実地試験に協力することになった。定例ミーティングの翌日の4月20日、関係者たちは、実地試験が行なわれる圃場を視察した。 
庄内といえば、日本海沿いに水田地帯が広がる庄内平野のイメージが強いが、内陸に向かって鳥海山や羽黒山、月山などを含む出羽山地(出羽丘陵)があり、高原や傾斜地も多い。現在、高原では酪農、傾斜地では稲作と畑作が営まれている。山の上から海に向かって標高が高い順に、畜産、畑作、稲作、そして漁業が営まれるというスマート・テロワールの構想を実現しやすい条件にある。 
実地試験を行なう圃場は、傾斜地を畑作用に開拓した団地の中にある。現在、団地には耕作放棄地も目立つ。実地試験では、月山高原ならではの大小の石を含む土壌の除礫作業や、耕作放棄された場所の再生作業、赤土の土壌改良にも取り組む。約100haの団地のうち、今年は約2haを使用する。今後、実践会議メンバーを中心に、厳しい条件をクリアし、地域の人々に成功モデルを見せていくことを目指す。 (平井ゆか) 


中田康雄の気づき

【加工品の品質規格があって、はじめて作物の品質規格が決まる】 

庄内の実証実験では、豚肉加工品が発売された。今後、加工業者と連携し、小麦や大豆、ジャガイモの加工品も開発される予定だ。 
農業試験場での加工用作物の品種は、一般的な加工品を想定した加工適性と栽培適性を備えることを目標にしている。 
しかし、スマート・テロワールが目指しているのは、それぞれの地域住民が求めるコスパが高くて美味しい商品を提供することだ。テロワールの作物は一般的な品質では無く、当該テロワール住民の要求に応える固有の加工適性と栽培適性を備える品質規格が求められるはず。 
そのためには、テロワール固有の品質規格を実現する作物品種の開発・進化が不可欠だ。また、作物の栽培にあたっても納期、数量、価格とともに品質規格をも保証することが必須になってくる。まず、その地域で、どんな加工品が住民に求められ、何を提供するのか問われることになる。 

【MDチームの役割】 

「庄内自給圏をつくる会」準備委員会では作物ごとにマーチャンダイジング・チーム(MDチーム)を設置している。研究者、生産者、加工業者、小売業者らが参加し、生産から加工、販売までの全工程にわたるマーケティング活動を進めていく。まずは加工業者がこの活動をリードする役割を担う。 
カルビーのポテトチップの場合、加工工程での歩留まり、製品の食感や風味、揚げたときの色、カットしたときの大きさなどの品質規格を定めている。製品の品質規格が決まってはじめて、作物の品種や栽培の規格が決まる。作物の品質規格が決まったら、そのための栽培方法が確立され、継続的に改善されていくのである。 

【継続的改善を保証するPDCA】 

MDチームの活動は、商品開発ならびに商品品質そして作物品質の継続的改善が主たる任務になる。 
この品質改善を継続的に実現するためには、PDCA(計画・実行・検証・軌道修正)サイクルを回し続けることが前提になる。起点としてのPこそは「仮説」に他ならない。「仮説・検証」をたゆまず続けていくことに尽きる。

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